<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 安比高原ゴルフクラブ(岩手県)最終日

今大会のプラスワン。3回のテーマはルーキーキャンプの参加者だった。その中から、無作為に3人を選出。三宅百佳と相対し、第一声が、「私、無名です。それでもかまいませんか」だった。ところが、今年の最終プロテストでは、目を引く装いが印象に残る。蝶ネクタイをつけていた。「私のお気に入りです。だから、勝負の最終日は絶対、これ、と決めていた。まわりの人からは、お笑い芸人みたい、といわれたことが、ちょっと複雑で…」とため息をつく。

5度目のチャレンジで、ライセンスを取得した。今回は人生でもっともつらい4日間。「テストの前と後、腸炎になった。ストレスが原因だったようですね。でも、大変だったのはテストの最終日。前半、40も叩いてしまった。前夜から手と体の震えが止まりません。ごはんがのどを通らなかったけど、あきらめられない。あきらめたくなかった」と振り返った。ラウンド中、脳裏に浮かんだのは、これまでサポートを受けた、たくさんの人々の顔。プロ選手から初めてサインをもらった、同じ香川県出身の川西栄子には、小学生の時から技術などを含め、プロへの道を相談、指導も受けたという。

香川西高校を卒業して、兵庫の高室池ゴルフ倶楽部で約1年間、研修生を。「今も、練習をさせていただいています。メンバーさんも親切で、私は素晴らしい出会いの数々で、ここまでこられた。受けたご恩を一生忘れない。それだけは肝に銘じている」と語る。現在、暮らしている加東市は、「ゴルフのまち」。県内では三木市に続いて、16コースがある。同市観光協会は、全国でも珍しい研修生などへ支援制度を創設した。

プロテスト1次予選を通過すると、2万円の支援金が支給され、合格まで行けば、10万円。三宅が第1号だ。また、観光大使もつとめている。「プロになったばかりで、とてもありがたいお話です。励みになる。加東市をアピールしなければなりません。同時に、故郷の香川県も、です。讃岐うどんが有名になったおかげで、香川というと、"あっ、うどんの県"って。でも、その後に、どこにあるの? とよくいわれることがショック。私にできることは、成績を出して、少しでも香川と加東をPRすることだと思います」と力を込めた。

無名からスタートした話が、義理と人情にまで及ぶ。外見は今どきの女子でも、心は大和なでしこだった。帰り際、すまなそうにもじもじして、こうつぶやいた。「ウエアを提供してくださるスポンサーさんを探しています。もし、可能ならチラッと入れてください。お願いします」。レギュラーツアーのデビュー戦は、大王製紙エリエールレディスオープンに決定した。まずは、15日開幕のステップ・アップ・ツアー、山陽新聞レディースカップで存在を示すのが急務だ。